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恋なすびと歴史

1.恋なすび

俗称・恋なすびは、ナス科マンドラゴラ属の植物で、マンドレイク(Mandrake、別名マンドラゴラ)。古くは薬草として用いられたが、魔術や錬金術の原料としても登場する。根茎が幾枝にも分かれ、個体によっては人型に似ている。全草が有毒だが、特に根には幻覚、幻聴を伴い時には死に至る神経毒が含まれる。形状が男性器を彷彿とさせるので多産の象徴と見られた。伝説では、動き引き抜くと悲鳴を上げて、まともに聞いた人間は発狂して死んでしまうとされた。根茎の奇怪な形状と劇的な効能から、中世ヨーロッパでは、魔法や錬金術を元にした作品中に悲鳴を上げる植物として登場した。絞首刑になった受刑者の男性が激痛から射精した精液から生まれたという伝承がある。絵本と映画で有名な「ハリーポッター」では、魔法学校ホグワーツの「薬草学」の授業が温室で行われ、そこに栽培されているマンドレイクをスプラウト先生が引き抜くと、土の中から出て来たのは根が小さな泥んこの醜い男の赤ん坊で、泣き叫ぶシーンがある。この恋なすびの名は、旧約聖書の創世記(恋なすび)と雅歌(恋なす)に登場する(英語ではどちらもmandrakes)。

mandragora.jpg


2.旧約聖書に登場する「恋なすび」

(創世記30:1-17)ラケルはヤコブの子を産めないので、姉を妬んでヤコブに「私に子を下さい、でなければ死にます」と言った、。ヤコブはラケルに怒り「子を宿らせないのは神だ。神に代る事が出来ようか」と答える。ラケルは「私の侍女(女奴隷)ビルハがいるわ。彼女の所に入って(性交渉)。彼女が子を産んで私の膝に置く。そうすれば、私も子を持てる」と言った。ラケルはビルハを彼に与えて妻としたので、ヤコブは彼女の所に入った。ビルハは妊ってヤコブに子を産んだ。ラケルは「神は私の訴えに答え、私の声を聞いて子を賜わった」と言って名をダンと名づけた。ビルハはまた妊って第二の子をヤコブに産んだ。そこでラケルは「激しい争いで姉に勝った」と言って名をナフタリと名づけた。さて、レアは自分が子を産まなくなったため侍女ジルパを妻としてヤコブに与えた。ジルパは子を産んだ。そこでレアは「幸運がきた」と言って名をガドと名づけた。ジルパは第二の子をヤコブに産んだ。そこでレアは「私は幸せ、娘達は私を幸せ者と呼ぶ」と言って名をアセルと名づけた。レアの息子ルベンが麦刈りのために野に出て、恋なすびを見つけて母に持ってきた。ラケルはレアに「恋なすびを私にくれ」と言った。レアは「お前が私の夫を取ったのは小さな事か。その上また息子の恋なすびも取ろうとするのか」と文句を言った。そこでラケルは「では、恋なすびに換えて、今夜ヤコブをお前と共に寝させよう」と言った。夕方ヤコブが野から帰ってきたので、レアは彼を出迎え「息子の恋なすびと貴方を交換したのだから、貴方は私の所に入らなければならない」と告げた。ヤコブはその夜レアと共に寝た。神はレアの願いを聞かれたので、彼女は妊って五番目の子イッサカルを産んだ。

性道徳も夫婦倫理もあったものではない。レアとラケルは姉妹でありながら、互いに嫉妬心があり、ヤコブの子を産む事を競っている。旧約にはこうした驚天動地の話が多い。一夫多妻の重婚だが、これに神(当時のユダヤ人著者が考えた)が関係していて、しかも認めるというトンデモ系の話が満載だ。そう書いてあるのに教会では説教に使われない。都合が悪いからだ、そしてほとんど読まれない、読んでも忘れる。都合が良いところだけ御言葉と称して大いに美しく語るが、都合が悪いと知らぬ顔の半兵衛・・・批判はここまでにして、ラケルは何故に恋なすびを欲しがったのか、一夜のヤコブとの性交渉権を譲ってまで。おそらく妊娠・多産に効果があると知っていたからだろう。註解書では、マンドレイクはヘブライ語では「ドゥーダー」で、「as aphrodisiac」性欲を促すもの、強精薬、惚れ薬、媚薬等の意味がある。次回、ラケルがヤコブとの性交渉時にこれを使うと、ヤコブは精力が増し、妊娠する可能性(受胎効果)が高まると考えたのだろう。

(雅歌:おとめの歌11、7:10-14)それは我が恋しい人へ滑らかに流れ、眠るあの人の唇に滴る。私は恋しい人のもの、あの方は私を求めている。恋しい人よ、来て。野に出よう、コフェルの花房のもとで一夜を過ごそう。朝になったらぶどう畑に急ぎ、見よう、ぶどうの花は咲いたか、花盛りか、ざくろのつぼみも開いたか。それから、貴方に私しの愛を捧げる。恋なすは香り、その見事な実が戸口に並んでいる。新しい実も、古い実も、恋しい人よ、貴方のために取っておいた。

ここでも恋しい人のために、マンドレイク(恋なす)を用意して、愛し合う二人が行う性愛の準備をしている事が分かる。ただし、実としか書かれていないので、根までかどうかは不明。「雅歌(がか)」はヘブライ聖書では諸書に含まれる一編。キリスト教では伝統的に預言書の前に置かれる。ヘブル語の意味は「諸々の歌の歌」で、「歌の中の歌」、「最高の歌」という意味になる。内容は創世記とは異なり、神が造られた男と女・二人の愛の豊かさと素晴らしさを、恥じることなく真正面から堂々と歌い上げている官能歌であり、聖書中では異色である。冒頭で「ソロモンの雅歌」とあるのでソロモン王の作をされてきたが、これは知恵文学の常套手段であり、BC4~3世紀頃に編纂されていて、知恵文学に属すると考えられる。「コヘレトの言葉」あるいは「箴言」の「イスラエルの王、ダビテの子、ソロモンの箴言」のように、序文でソロモンの権威を宣言するのが「知恵の書」の特徴で、この巧妙な仕掛けが、この官能的な相聞歌の聖書の正典化に成功した理由だろう。中世の絵画も、聖画という免罪符により、聖書を題材とした女性の肉体美の官能的な絵(裸のバテシバの水浴図、失楽園のアダムとエバなど)を巧みに生活の場に取入れてきた。それと同じで、堅苦しい申命記信仰に息抜きと人生の真実を与える知恵であろう(拙著:旧約聖書・抵抗文学としての 知恵文学)。一度お読みになることを勧める。

3.歴史上のマンドレイク(恋なすび)

カルタゴの軍勢が、放棄して撤退した街にマンドレイク入りのワインを残してゆき、街に入ってきた敵軍が戦勝祝いにこのワインを飲み、毒の効能によって眠っている敵軍を皆殺しにして勝利を収めたとの伝承がある。ツタンカーメンの墓に、マンドレイクを栽培する様子が描かれていて、墓の遺物からマンドレイクを手に持つ妃の絵がある(画像参照)。シェイクスピアの「オセロ」「ロミオとジュリエット」にも記述が見られる。

mandragora-Tutankhamun-alruin.jpg


4.マンドレイク(恋なすび)の性質

マンドレイクは地中海地域から中国西部にかけてに自生する。コイナス属又はナス科マンドラゴラ属に属し、薬用としては「Mandragora officinarum L.」、「M. autumnalis Spreng.」、「M. caulescens Clarke」の3種が知られている。共に根に数種のアルカロイドを含む。麻薬効果(快楽効果があるが、禁断症状もある)を持ち、古くは鎮痛薬、鎮静剤、瀉下薬(下剤・便秘薬)として使用されたが、毒性が強く、幻覚、幻聴、嘔吐、瞳孔拡大を伴い、時には死に至るため、現在薬用にされる事はない。複雑な根からは人型のようになるのもあり、非常に多く細かい根を張る事から強引に抜く際に大変力が必要で、根をちぎりながら抜くとかなりの音がする。この音が伝説のマンドラゴラの叫び、その毒性が叫びを聞いた者は死ぬと言う逸話の由来と思われる。春咲きの種と秋咲きの種があり、伝説では春咲きが雄、秋咲きが雌とみなされ、恋なすびとも呼ばれる。


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